生息数の急激な減少で漁獲枠を大幅に制限されたクロマグロ。
もちろんその原因は日本人を筆頭に人が食べるという行為(捕食者)の増加による減少です。
「食う・食われる」は生物界の掟。
だからしょうがないのですが、要はバランスの問題です。
地球の生物相は全てが何らかの関係を持ってつながっています。
それが絶妙なバランスで保たれているから成立しています。
それらを壊しているのが悲しいかな人間。
そして水槽に閉じ込められたクロマグロ。
ご存知のように葛西水族園ではこの貴重な大型魚が不審な死を遂げています。
まだ原因は特定できてないようですが、何らかのウィルスが見つかりました。
本来回遊魚であるクロマグロは寝るときも泳いでいるくらい移動していないと生命維持ができない魚類です。
いくら大型水槽といっても、限られたスペースに多くの魚を入れることはその管理には大きなリスクがあったはずです。
たまたま今までは飼育が上手く行ったが、やはり難しかったという結果が今回の大量死ではないでしょうか?
鳥インフルエンザは同じ場所に大量の数が集まっている事が原因で発生する問題です。
だから鶏であり、集中して越冬しているツルやカモやガンやハクチョウです。
考えるに、このクロマグロも結果として生息環境が起こした大量死なのではないでしょうか。
鳥インフルエンザならぬ、魚インフルエンザです。
水族館は大好きで、私は長い間海水魚を飼育していました。
それはそれは管理が大変でした。休日はほぼ彼らの世話で明け暮れました。
でもその頃の私には唯一の心の拠り所でした。
色とりどりの魚を見ることは人々を癒し海中の自然環境を感じることができます。
でも水族園のクロマグロたちは、人に捕まって食べられない代わりに、同じ場所を一生回遊する運命となりました。
それは彼らにとって死を意味したのかもしれません。
犯してはいけない生物それぞれの生態を、人は自分の都合で犯しているのです。
あの大型魚が水槽内を泳ぐさまは雄大で迫力があり感動ものですが、
彼らはいつか外洋に出られる日を信じて、ぐるぐるとアクリル水槽を回っていたのかもしれません。
回転寿司でカタカタと皿音を立てながら回る以外にも、クロマグロに受難はあったのです。