日々の判断には相当の神経と頭脳を使います。
あれこれ進める時の、何が一番重要なのか、果たしてこれは何のために、誰のための問題なのか。
総合的に物事を判断し日々の職務に当たっているのですが、
このようなご意見を9月に匿名でいただいています。
まず、運動会の開催時間が長過ぎる。子どもの出番は2つ3つで十分だ。乳児や祖父母には過酷です。
次に、ふきの子会での出し物で、まるでアイドルの真似みたいな事をさせる先生がいる。これは周囲では不評であり、場内がざわついた。
これは個人の意見ではなく、アンケートなど取って欲しい。
というものです。
さて、まず運動会は子どもはもちろん、保護者や祖父母の皆さんが野外で体を動かし、絆を深める行事です。
海外ではコミュニティーを作るのにとてもいい活動になるとしてこの会を導入する地域が増えているそうです。
時間が長いことは十分承知していて、毎年知恵を絞り短縮しています。
しかし何を大切にしたいかというと、子どもの運動に対する取り組みと、保護者の方とのスキンシップ、そして家族と先生の絆です。
省けるものと省けないものもあります。
ここの調整が難しいところです。
そしてふきの子会の演目は、4月からクラスを担任して来て、どんなカラーのクラスなのか担任が見極め、どの子も表現が出来る出し物を選択します。
今年度からは各 学年に適した演目を決めました。
年少も年中もとても年齢にマッチした出し物なっています。
先生方も決められた演目をどのように調理しようか迷いながら、
子どもたちの気持ちや言葉に耳を傾けながら衣装を選び、配役を決めてきました。
もちろんこれは担任としての手腕が試されるところです。
年長は幼稚園最後の学年です。発達段階としても大きく飛躍します。
そんな中、発表会にお遊戯にしろ劇にしろ、「子どもたちにさせる」という表現はどうにも当てはまりません。
現代の子どもたちの指向、どんなものに敏感であるかの雰囲気を察知、そして担任としての得意を合致させることが重要です。
ピアノが苦手な担任に、オペレッタを強要してもこれだけに緊張してしまいいい出し物にならないでしょう。
ダンスが得意な先生に劇の脚本や舞台設定を任せても負担になるだけでまとまらないかもしれません。
まずは時代背景も頭に入れて、クラスの子どもたちを見渡し、自分の担任としての得意も大いに発揮できる演目を考えます。
先生の演出は全て、クラスの子が自信を持って舞台に立てること。
5歳児、6歳児に見合った表現の仕方を精一杯やってみることです。
そして発表当日までの先生と子どもたちの係わりが、もう一つクラスの絆を深め、仲間意識を盛り上げます。
単純にアイドル系は相応しくないと決めつけず、子どもたちの表現を大らかに、柔軟な態度で見てください。
舞台の上でライトを浴びる事なんて、一生に一度だけかもしれません。
大人になって酒のつまみに、「幼稚園の時エグザイル踊ったよな・・・・、僕ダンス苦手だったんだけどな・・・」、なんていう会話もいい思い出です。
仮にもエグザイル風に衣装を着けて踊った経験は、最初で最後のこの時限りになるでしょう。もしかしたら将来本当にアイドルになっているかもしれません。
私が担任が選択した劇や曲を聴いて、「これは幼児には相応しくない」という判断はもちろんしています。ダメ出しも何度もしました。
毎年の事ですが、どちらへ発表に出かけても、恥ずかしくない演目を発表しています。
子どもの意欲や表現に、大らかに柔軟に対応したいと考えています。
いよいよ明日と明後日はふきの子会。子どもたちはきっとお家で緊張していることでしょう。
これも大きくなる経験です。やり遂げた時の達成感と自信は本人にしかわかりません。
大人も一緒です。やってみることです。
日々子どもたちと悪戦苦闘している先生方にも大きな励ましと応援を送ってください。
少なくともながつた幼稚園の先生方は、この行事の意味を十分理解して、子どもたちとよくよくコミュニケーションを取って挑んでいます。
我が子を預けた先の教育や活動を信じてください。
懸命に取り組んでいますのであまり目くじらを立てず、見守ってください。
ダンスが中学校の教科にもなった昨今です。
幼児期に相応しい発表かどうかは、本人たちがどんな気持ちでこの活動に取り組んだかではないでしょうか。
判断はご自身のお子さんがこの発表で何を得たかで評価してください。
観覧にお越しください、お待ちしております。