< 高気圧だ >
津波が畑を飲み込んで行く映像には足が震えたが、
真っ黒な泥水がものすごい勢いで下流へ下る映像も、
見ていられなかった。
地震だけでなく、日本は本当に自然災害が毎年続く。
この要因が少なからず私たち人間生活が成せる技だとすると、
なんとも心が痛む。
そんな中、今日この横浜の地は西風がちょっと強い、快晴だ。
ピーカンである。太平洋高気圧だ。
いいんだか、悪いんだかわからないが、空を見上げると
ノシメトンボの大群がひらめいている。
とても気持ちよさそうに風に身を任せ、
時折急旋回で小さな虫に食いついている。
さすがにトンボは空中権を制する昆虫である。
実に魅力的だ。
しかしそのトンボをキャッチすべく、ツバメが彼らの上を舞う。
シオカラトンボといい、このノシメトンボといい、
ツバメには絶好の食物である。
共に真っ青な空を飛びまわる、何事もなかったようないつもの夏空だ。
現在小田原の生命の星地球博物館では大トンボ展を開催している。
世界トンボ学会なるものがここで開かれるらしい。
もちろん私は行く予定だ。
でも今日は風に吹かれて、このとにかく自由なノシメトンボを見ていよう。
彼らはこれから標高の高い山を目指す。
生意気にも避暑地で夏を過ごすのだ。
これは彼らのDNAがそうさせている。
元々北方系のトンボなので、熱い夏が苦手なのだ。
夏を高山で過ごし、秋になると田圃の上に大群で帰って来る。
いわゆる赤トンボになるわけだ。
今日は平地での最後の栄養補給かもしれない。
じゃあまた、秋にね。