< 子どもって面白い! >
僕:「先生! お友達に話したい事があるので
みんなを黙らせて下さい。」
先生:「えっ、O君みんなにお話があるの?」
僕:「そうです。」
先生:「はい、皆さん。O君が みんなにお話があるんだって。
聞いてあげて。」
僕:「皆さん、今日僕は外で遊びます。
〇〇君と〇〇君と、〇〇君と、〇〇さん、前に来て下さい。
今日僕と一緒に遊んで下さい。虫籠と虫網を持って
リンゴの階段に集合です。」
クラスのみんなは何が始まったかと、ポカーンとしながら
O君の話を聞いていました。
呼ばれた子:「ううん、わかった。いいよ。」
そしてお昼の後の外遊び。
一応呼ばれた子たちは言われた通りに虫籠と
虫網を持って、リンゴの階段に行きましたが、
遊び時間が終わって戻ってきた子の3人は、
「何したんだかわからなかった。虫もダンゴムシばっかりだし、
O君、何して遊びたかったんだろう???????」
と不思議そうに帰って来ました。
しかし・・・・・・
呼ばれた子の一人は、
「楽しかった!またO君と遊ぼう。」
と満足そうに真面笑みを浮かべながら帰って来ました。
O君はいつも通り、淡々と戻ってきたようです。
でもO君の作戦は見事に成功したのです。
このO君、実に愛らしい、ついつい声をかけたくなる、
人畜無害のちょっと運動が苦手で、
友達付き合いが下手で、でも鋭い質問をしたり、
ニタニタと先生の行動にダメだしをする、とにかく気になる子なのです。
そんなO君は密かに考えていたようです。
この出来事の前に、先生にしっかりリサーチを掛け、
自分なりの方法を練っていたのです。
その時の質問がこうです。
僕:「先生、みんなはどうやって友達と遊んでいるのですか?」
このO君の会話は全て「です・ます」調です。
先生:「今日は何々しよう!って誘ったり、つみきの階段で待ってて。
って、約束したり、自分で誰かにお話して決めているんだよ」
僕:「あーそうですか。わかりました。」
と事前確認があったのです。
そしてO君は思い切って行動に出ました。
実に積極的な作戦です。それもみんなの前で!
何人か候補を決めて、その中で気の合う子を見つけるなんて、
恋人選びでも中々上手くはいきませんよ。
O君すばらしい。四分の一の確率で、見事に友達を作りました。
その後O君とその〇〇君は仲良く手を繋いで
やかんを職員室に戻しに来たのです。
先生の心憎い計らいです。
二人はとてもうれしそうに元気よく持ってきました。
拍手をして迎えてあげたら、またまた二人ともうれしそうで、
O君も満足そうでした。
そういえばこのお相手の〇〇君も、
どこかちょっと変わっていて、O君の思考と波長が合うのかもしれません。
子どもは実に面白い。
今まで同じクラスにいてもお互い意識することがなかった二人でも、
この大胆な行動が二人の人生を変えたのです。
(オーバーか!)
子どもたちとの毎日の現場は、どんな教育談義より、
数ある教育図書より、長々した会議より、私の肥やしであり、師匠です。
子どもたちから多くの事を教わり、そこへ私の経験と1滴のスパイスを足して、
子どもたちへ返す。
すると自然に共感できる。
このプロセスが現場の醍醐味です。
O君のエピソードを温かく見守り、クラスの中で生かした先生にも
拍手を送りましょう。
7月14日付の < 友達作り >という
テーマでも記しましたが、今回の方法は子ども本人が考えて、
真正面から体当たりした友達作りでした。
やっぱり、子ども力を信じましょう。
良かったね、O君!
友達作りといえば、一昨日のこのページでご紹介した
特定外来生物の「ガビチョウ」さん。
なんと今日はお山にお友達を連れて来てしまいました。
先日と同じ場所に、2羽で現れたのです。
恐るべし外来生物。こちらは着々と仲間を増やしているようです。