< ヌエ鳥 >
以前丹沢へ出かけた時の記事をこのぺーじに載せましたが、一つの目的はこの鳥の鳴き声を聞きに出かけたのです。
「ヌエ」 とは日本書紀にも登場する、得体の知れない化け物の総称で、人々は深夜周辺から聞こえてくるこの声を、化け物の声として
恐れていました。
その声は 「フィー、フィー」 又は「ヒー、ヒー」「ヒョーヒョー」 と聞こえ、いかにも真っ暗な闇の中から聞こえる、悲しげな幽霊か亡霊かお化けを連想する声なのです。お化けと言ってもグロテスクではなく、優しい感じですが。
この声はオスの声で、メスはオスに答え 「クール、クール」 とくぐもった声で鳴き返します。
これが一晩中続くのです。
私にはとても感動的な声でした。その声は、何とも聞いて頂かないと伝わりませんが、感傷的で神秘的で森の中にいる妖精のようなイメージです。(かわいい羽の付いたティンカーベルを想像してはいけません)
この鳥は日中はほとんど姿を見せません。薄暗い林の中にいて、お水を飲む時だけ開けた場所に出てきます。
正式な名前は スズメ目ツグミ科で トラツグミ といいます。
羽根の模様がトラ模様なんです。だからトラツグミです。好きな物はミミズ。
鶴にしろ、フクロウにしろ、そして春先のウグイスも初夏に聞こえるホトトギスの声も、私は鳥たちの声を言葉として聞いています。
彼らは鳴き方で会話をしていると思うと、じっくり聞く事で、一瞬でも野生動物の仲間になったように思えるのです。
声はお届けできないので、姿だけお送りします。
これは真鶴岬の原生林で撮りました。4時間粘ってやっと出て来てくれました。
昨年はトラ年だったので、この鳥が少し脚光を浴びたのですよ!
今年の夏も、丹沢へ、声を聞きに行こうと思っています。ヒル(蛭)と闘いながらね!