< 野生動物との付き合い方 >

ネット上で騒がれていたアメリカシンシナティーの動物園で起きた西ローランドゴリラ射殺事件や、

東京井の頭公園でのゾウの花子さんの死について、皆さんはどのように思われたでしょうか。

どうしてゴリラの飼育舎に子供が入り込んだのか?

ここでまずゴリラには何の非もないのです。しかし結果は子供を守るためのゴリラ射殺でした。

飼育係の方も話していましたが、この時点でゴリラは突然奇妙な物体が自分のテリトリーに侵入したので排除しようと考えますが、相手が何の攻撃も威嚇もしてこないので、どうしたものかと扱いに困っていただろう、と。

ゴリラも何らかの恐怖を抱いていたのです。

ですから抗議する人も多く、ネットが炎上したようです。

なぜ麻酔銃を使用しなかったのか・・・・と。

事故ですから子供の命も軽んじられてはいけませんが。

難しい判断でした。

この事態の責任は動物園側にあるのか、子供の監督不行き届きの保護者にあるのか・・・・?

悲しいかな生きとし生けるものの命の重さは皆同じと言えども、優先されるのは人間の命です。

この時のゴリラには何の罪も無いのにです。

ただただ悲しい、永遠に答えが出ないような出来事でした。

シルバーバックといわれるゴリラは絶滅危惧種にあたり、世界中の動物園で繁殖が試みられています。

さて花子さんはどうでしょう。

長生きし、多くの人の心の拠り所になっていたようですが、

長い間たった一頭で、ずっと同じ場所で一生を過ごさなければならなかった花子は、果たして幸せだったのでしょうか・・・・・。

本来ゾウは群れで生活する動物で、生きる知恵を世代を超えて受け継ぎ種を守って来ました。

一度も仲間を持てず、子も作れず、生まれたタイのジャングルも知らずに過ごした花子さん。

人が花子を見て力をもらう前に、花子自身に野生の本能を感じさせてあげることは出来なかったのか・・・・・。

動物園の意味は広く多くの人に野生動物をしらしめ、動物を愛護する気持ちを持たせ、そして種の保存に力を注ぐことが求められますが、

一定の施設に野生動物を捕獲すること自体を非とする団体も世界中にあります。水族館もです。

野生動物は野生で暮すのが本分ですから。

「野の鳥は野へ」と宣言し、日本野鳥の会を発足させ、鳥獣保護法を整えた中西悟堂はどのように考えるでしょうか・・・・。

どちらにしてもそれを判断し行動に移すのは人間です。

野生動物の命も結局は人間の手に委ねられているので、人はその言動を大いに慎まないといけません。

同じ命では無いことを私たちは知っていて、現実はそのように動いています。

せめて時には彼ら野生動物そしてコンパニオンアニマル(飼育動物)の存在を思い、上手な付き合い方を学ぼうではありませんか。

命の重さが少しでも等しく近づくように環境を整えられるのも、私たち人間なのですから。

動物村の再来日は9月5日となりました。