< 幼児期の貴重な体験 >
節分を前に、ながつた幼稚園では一足早く豆まきをしました。
当園のHPでその時の様子を見ていただいた方もいらっしゃると思いますが、
まるで先ごろ世界無形文化遺産に登録された「なまはげ」のようだと感じた方も居るかもしれません。
事実、「凶」を追い出して「吉」を呼び込みましたが、もう一つ子どもたちに戒めの気持ちや記憶を持たせた、
怖い体験だったでしょう。これからの幼稚園活動の中で、みんなと一緒にやっていく術を思い描ければと毎年行ってきました。
鬼が来る情報は子どもたちの中に広く伝わっていたようですが、
年少さんには刺激が強すぎて泣き出す子、本当は誰だろうと遠目で鬼を眺める子、年長にはすっかり慣れてしまって戦って連れ去られ、無事に帰還して「アーーー楽しかった!」と、
頬を真っ赤にして喜んで戻ってくる子など、様々でした。
家庭では中々できない体験の一つです。幼稚園ならではの、ましてや男性の教職員が多い当園ならではの活動でしょう。
決して怖がらせることが目的ではありません。
小さな時代の一つの教訓でしょうか。
私の幼少期、毎年お正月には獅子が各家庭を訪れて、獅子舞を披露して新年を祝う行事が長津田地区にはありました。
来ると分かっていても、私と妹の二人は怖くて、まずは自分たちの靴を玄関から隠し、この家には子どもがいないことを分からせようとしました。
しかしこの安易な作戦は直ぐに見破られ、本来玄関先で獅子舞は終わり帰っていくはずが、子どもがいると分かると居間の方まで上がって来るのです。
私と妹はリビング、ダイニング、キッチンを猛奪取で庭の奥へ裸足で逃げ出しました。
獅子は私たちの頭を噛んでくれて、いい子に育って欲しい願をかけてくれるのですが、
こちらは食べられると思い必死で逃げていたわけです。
昨日の子どもたちと同じでした。
しかし今となってはとてもいい思い出で、あの時のあの感情もきっと体験することは大事だったと感じます。
鬼に対してトラウマになってもいけませんが、きっと思い出すとクスッと微笑む体験になるでしょう。
同じように幼児期の発表会です。
舞台に立ち大勢の前で遊戯や演技を見てもらうことは、ある意味では相当の勇気が必要でしょうし、
こちらも恐怖感を感じる子も居るかもしれません。
それでもそれを乗り越えてお友達と一緒に体験して行くことが一つの自信になり、クラスの連帯に繋がります。
事実最近の子どもたちは声が大きくなり、態度が大胆になって来ました。人とのかかわりに積極的になってきたように感じます。
いい事です!
こんな体験を積み重ねて行くことが幼稚園の役割であり、教育目標です。
幼稚園は決して小学校の予備校ではないので、日々の活動の中に何を重視して取り込んでいるかも十分にご理解いただきたいところです。
とにかく在園児には十分に幼稚園を楽しんでもらいたいですし、少し怖い経験も、悔しい体験も、ちょっとしたいたずらや喧嘩から波及する先生からのお説教や友達とのいざこざも含め、
幼児期の貴重な体験をこれからも続けていきます。
ふきの子会をお楽しみにいらしてください。