< 久し振り、半袖ちゃん >

半袖ちゃんというニックネームを付けて、成長の過程を少し連載した事がある。

該当する園児の保護者には了承を得て、その子の気になった1日を記載したのだが、

久し振りに今日はその子と向きあった。

登園直後は私に叱られ、かなり泣きそうな引きつった顔をしていたのだが、

それが納まって外遊びに出て行く際、廊下で年少組の女の子とちょっとぶつかってしまった。

もちろん故意ではなく、通りすがりに肩同士がぶつかったのだが、

直後はお互い顔を見つめ、何も言わず、じっと止まってしまったので、見ていた私が、

「ぶつかっちゃったね。そんな時はごめんね、って言うんだよ。」

「わざとぶつかった分けじゃないし、どこか怪我もしていないから、ごめんなさいって言えばいいんだよ。」

と言うと、女の子は賺さず、「ごめんね。」

と言って半袖ちゃんをまた凝視する。

「あら、Tちゃんは、ほらなんて言うの?」

「年少さんに先に言われちゃったよ、どうした年中さん」

しかし彼は今叱られた私の指を握り、明らかに助けを求める仕草をする。

じっと寄り添って離れようとしない。

この自分を見つめる小さな女の子に、何と言おうか戸惑っている。

結局「ごめんね」は言えなかったが、彼はバツが悪そうに、私に申し訳無さそうな目線を投げかける。

年少組から比べれば、多くの事を身につけ自発的に取り組むように成ってきた。

保護者もその辺の所は認める所だと思うが、まだまだ素直に自分の気持ちを表現したり、口に出したりしない。

一方的にこちらから伝えていても、子ども一人一人の理解・感じ方・表現力など全て違うのだから、その都度その時の様子をしっかり捉え、アドバイスしないといけないな、とまた感じた。

その後年少さんは外へ遊びに行き、彼はまた私としばらくやりとりする事になる。

「こういう時はこうするよ 、ああ言うよ」と伝授し、話題を今日の外遊びに変えた。

すると顔が柔らかくなり、「今度はきちんと言う」と言う。

押したり、引いたり、叱ったり、助けたり。

少々気難しい子にはいろいろな方法で、時間を掛けてじっくりと向き合わなくてはならない。

半袖ちゃんは少しずつだが先生の言う事をきちんと蓄積していると思う。

それをいつ素直に現わすか、その時が楽しみだ。

 

 

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