< 子どもの世界 >
私の机はグラウンドが良く見渡せる位置にある。
そして敢えて子どもたちが寄れるように、すのこをどけている。
お蔭で(良いも悪いも)、いろいろな子が訪ねて来る。
まず虫を捕まえれば必ず見せにくる。
今日はカミキリムシと大きなクモ、そしてナメクジ。
ナメクジは虫じゃない。(蜘蛛のね!)
次は年少さんの5人組。何だかにこにこしている。特に話は無いようだが、窓ガラスをトントン叩いて、「おはよう」と言って来た。実にかわいい、いい子たちである。
そして花壇の前では必死でこちらにアピールしている子がいる。
いつも外集合で私が話している身だしなみを、やっているのだ。
スケーターに方足を乗せながら、ポケットからハンカチを出し、帽子を取って汗を拭く。うん、なかなか手付きがいい。顔も綺麗になった。そしてざっくりハンカチを畳んで、ポッケにしまう。
うんうん、話している通りにやっている。
こちらを見て、「出来ました!」という顔をしている。
私も指でOKサインを出し、笑顔で返すと、またスケーターを押して満面の笑みで子どもたちの中に消えた。
次の子はバッタを捕まえたい、と訴えて来た。
場所と方法を教えるが、一人じゃイヤの様子。何とか励まし、自分で見つけるように話した。
次の子はノコギリクワガタを下さい、と言う。
この子にも自分で捕まえる方法を説いたが、お母さんもお父さんも行ってくれない・・・・・、と呟いた。
そうかそうか、ここは子ども相談室にもなっていた。
あーあー、グランドの真ん中では顔をくちゃくちゃにされている子がいる。
年中の女の子が、年少の男の子を自分の赤ちゃんのようにお世話しているようだ。
その男の子も嬉しそうだが、どんな会話をしてるのか?
とにかくいろいろな子が入れ替わりやって来る。
子どもたちはきっと全身全霊で毎日の幼稚園を送っているのだろう。
子どもの世界を垣間見ていると、こちらは気持が落ち着き、静かに、きれいになるような気がする。
朝の外遊びは子どもたちには1日のバロメーター、私には仕事の向き合い方を整えてくれる時間のようだ。