< 再会 >
月齢が13,9の無風。
きっと来る、彼が来る。
深夜11時30分、私はそっと窓を開けた。
いる、彼だ、やっぱり来た。
何度も何度も鳴いている。
無風は彼らにとって絶好の狩りのチャンス。
でもここは私が存在する合図を今まで送って来た場所だ。
きっと縄張りを宣言しているんだ。
実は私を呼んでるのか?ここは私のテリトリーだから。
負けじと彼は彼の存在を主張しているんだ。
すぐ近くにいる。んっ、飛んだ。
でもまったく音がしない。フクロウは本当に音を立てずに飛ぶ。
2月3日の深夜午前1時まで、私は久しぶりの再会に寒さも忘れ、彼の声に導かれて林の中を歩き回った。
月明かりと私のヘッドライトだけ。
動物用の赤いライトを当てると、彼の目は赤く光り、確かにその存在を主張している。
私をじっと見つめ、首を左右に振る。
そして無音で飛び立ち反対方向で鳴き始める。
このまま彼が飛び去らなければ、私はきっと明け方まで彼と会話をしていただろう。
彼は杉の葉の中で静かに寝ていたハシボソカラスを追い出し、追いかけ、私の頭上に戻ってきた。
ふんわりとした身のこなし、林に溶け込んだうす茶色の胸、私たちと同じ、顔の中央に目を付けたその野生動物は、確かに私たちの身近な場所で夜という時間帯に棲みついている。
共に生きよう、私は町で、あなたは林で。
これは私の大好きなもののけ姫のラストシーンに、アシタカがサンに言う台詞。
「共に生きよう、サンは森で、僕はたたら場で」
私たち人間がほんのちょっと配慮すれば、ふくろう(山犬)が豊かに生きられる場所がいつまでも残る。
{山犬とはオオカミのこと。日本にはかつて全国にニホンオオカミが生息していた。そして絶滅したのです。もののけ姫の様に}
お互いのテリトリーを荒らさず、尊重し、いつまでも共に生きよう。
また会おう、友よ!
せっかくの十六夜月も雪空で見られない冷たい今日でした。