2015年7月29日
< 夏の思い出 ① >
昨日、夜の観察会に出かけた。
風が無く、雲に隠れて月明かりがない。
そしてたっぷりの湿度は夜活動する昆虫たちを見に行くには絶好の条件だ。
車を降りて20分ほど山の中へ入って行く。
ヘッドライトと手持ちのライトを消すと辺は真っ暗。まさに闇夜。
虫の鳴く声と、時々木々の葉がガサゴソいう。
そんな中、一緒に参加した1年生の男の子は、初めての体験に見るからに緊張の面持ち。
父親の横にがっちりしがみつき、まったく喋らない。
道は笹や枝に遮られ、歩くにはそこそこ根性が必要だ。
なんとか目的のクヌギに到着。
いるいる、カブトムシ。そしてノコギリクワガタにコメツキ虫にオオゲジ!!!そしてヤガの光る赤い目の数々。
吹き出す汗に集まる蚊をやっつけながら、彼らの樹液争奪戦に見入った。
2匹のカブトムシの戦いが始まった。
テレビで流れる通りのにらみ合いから角の突きあい。
すると少し小型の1匹の角が大きな方のお腹に入った。
次の瞬間、大きな1匹は見事にクヌギから投げ出された。
男の子は、「あっつ!」と小さく叫んだ。
落とされた1匹をライトで追い、拾いあげて初めて自分の手でカブトムシを獲った。
その後他の木も見に行き、約1時間ほどで帰って来た男の子の顔がまるで別人のように輝いていた。
最初の暗闇を歩く緊張感から、初めての体験で好奇心を満たされた満足感に変わっていた。
別れる挨拶をしたとき、「楽しかったね!」と言った私に小さく頷きニコリと笑った。
次回は秋の虫を聞きに行くことを約束して家路に就いた。
大きな夏の思い出が一つできた男の子。
子どもは少し怖いと思っている体験を乗り越えた時、大きく成長する。