私は野鳥を通して自然環境を保護している公益財団法人に所属しています。
その団体の連携組織としてある神奈川支部で活動しています。
土日や祝日は探鳥会の下見や実施でそこそこ忙しくしているのですが、
この度支部へ大口の遺贈金をいただき、その記念事業として野鳥の絵画を学校へ送ることにしました。
プロの絵本作家さんに作成を依頼し、神奈川県内の15校の高校から幼稚園までが決まりました。
その中の1校に先日贈呈する手配をしたところ、なんと実際に絵画を渡し、絵の説明をしてくれる方が、
ながつた幼稚園の園舎を設計した建築事務所の設計士さんだったのです。
なんとも驚き、戸惑い、何から話せばよいか、言葉がすぐに見つかりませんでした。
父が10年かけて温めた構想を、実際に図面にし興してくれた方だったのです。
なんということでしょう・・・・・・・・・!
私は胸が熱くなりました。父は幼稚園を創立する前は中学校の理科の教師で、自然環境のあれこれも学んでいました。
そして私は今、その環境を保護する日本で一番大きな環境保護団体に入っています。
その方は言います。
「森先生には大変お世話になりました。旧の園舎の階段を、園長室へ登って行かれる姿を思い出します。
当時としてはとても壮大な園舎の建築に、ワクワクしたものです。室内プールもありましたね・・・」
私は言いました。
「お陰様で、今となっては必須設備となっている全室冷暖房完備は大変有難く機能していますし、
地震大国の中、幼稚園の園舎としては先駆けになる鉄筋コンクリート造です。
本当に父の先を見据えた構想が、今の幼稚園の土台となっています。」
竣工当時の冊子の中に、その方と父が建設中の建物の一角で、ヘルメットをかぶりにこやかにほほ笑む姿が載っているのです。
野鳥を愛し、自然環境を残したい思いでこの団体に携わっている私が、今父の跡を継いで園長をしている。
このタイミングでこのような方と思いを一つにし、同じ活動に携わることになるとは、
天国でながつた幼稚園の行く末を見守っている父も、想像だにしない出来事だったでしょう。
人との縁、めぐり合わせはなんと不思議なんでしょう。
同じ思いって、どこかで、何かで繋がるってことでしょうか・・・・・。
来年は創立50年を迎えます。
亡き父からも、幼稚園建設にお力を貸してくださった方々からも、まだまだ支援をいただいて、
これから先100年まで繋げていかなければなりません。
私はその一時を、全霊で推し進める必要を改めて感じた出来事でした。
写真1枚目は神奈川支部の野鳥画寄贈活動。そこでのS氏。
写真2枚目、左から当時の現場監督、父、今回の設計士Sさん。
写真3枚目は現園舎の 建設中の現場写真と上棟式。